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伊藤復興大臣就任記者会見録[令和6年10月2日]

令和6年10月2日(水)16:00~16:36 於)復興庁記者会見室

1.発言要旨

 こんにちは。よろしくお願いします。

 昨日、石破総理大臣から辞令を頂きまして、復興担当の大臣及び福島原発事故再生総括担当大臣を命ぜられました、伊藤忠彦でございます。

 総理からは、復興大臣として、「福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なし」、そういう強い決意のもとに、被災地に寄り添いながら、各省庁の縦割りを排し、現場主義に徹したきめの細かい対応によって、福島の本格的な復興・再生、東北復興の総仕上げに国が前面に立って取り組むこと、そして、福島の本格的な復興・再生を加速していくために、復興の基本方針に基づきまして、それぞれの地域の実情や特殊性を踏まえながら、帰還・移住等の促進、そしてまた風評払拭等に向けた取組を進めること、関係大臣と協力し、創造的復興の中核拠点となる福島国際研究教育機構の体制整備を進め、日本の産業競争力の強化、そして日本、世界に共通する課題の解決に向けて取り組むことなどの御指示を頂いてきたところでございます。

 総理からの御指示に基づき、被災地の復興に全力を尽くしてまいる所存でございます。明日にも福島県を訪問させていただき、内堀知事に就任の御挨拶を行う予定になっております。被災者の方々をはじめ国民の皆様方におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げる次第です。

 私からは以上とさせていただきます。

 

2.質疑応答

(問)8月に、自民・公明両与党の第13次提言で、第2期復興・創生期間の次の5年間について、政府一体となって復興を進めるのに十分な財源を確保するということが明記されました。復興の司令塔として、第2期後の財源確保に向けた決意をお願いいたします。

(答)8月の与党の提言では、今後取り組むべき政策について様々な御提言を頂いております。この提言を踏まえさせていただいて、次の5年間で復興を進めるためにどういった政策が本当に必要か、しっかりと検討させていただきたいと思います。

 その上で、財源につきましては、与党提言では復興をしっかり進めるのに十分な財源を責任を持って確実に確保することが盛り込まれておるところでございます。これも踏まえまして、必要な復興事業の実施に支障を来さないように、財政当局ともしっかりと調整をしてまいりたいと考えております。必要な事業に対し、必要な予算をしっかりと付けるということに限ると思います。
  
(問)石破首相は、総裁選の中でも、防災省、まずは防災庁からと言ってらっしゃいましたけれども、そういった防災から復旧・復興、それが一元的になるような新組織の創設の意向を示されております。復興庁としては、どのように防災省の設置に向けた議論にどうコミットメントしていくお考えなのか、大臣の御所見をお願いします。

(答)災害の対応の組織の在り方につきましては、従来より様々な議論が行われてきたということを承知しております。我々復興庁といたしましては、東日本大震災からの復興の過程で蓄積してまいりましたノウハウの共有ですとか、関係組織と協力し、我が国の復興力の向上にしっかりと寄与してまいりたい、これが私たちが考えているところでございます。防災省の創設の検討は、巨大自然災害の切迫した危険とか、近年の更なる風水害の頻発化、激甚化に対処し、国民の生命、身体、財産を守る観点からも行われるものと承知をしております。

 一方、復興庁としては、原子力災害を受けた福島の復興・再生をはじめ、頻発する自然災害への対応とは時間軸の異なる業務を行っていることを考慮する必要があろうかと存じます。そうしたことをしっかりと調整させていただきながら、持ち場持ち場で御対応させていただくことを進めてまいりたい、かように思っております。

(問)冒頭の挨拶のほうで総理からの指示についての言及がありましたけれども、原子力被災地域の関連の話題が多かったかと思います。復興の総仕上げということでしたが、岩手、宮城などの震災被災地域について、現状の課題をどのようにお考えか大臣のお考えを教えてください。

(答)8月21日の第45回復興推進委員会におきまして、第2期復興・創生期間までの復興施策の総括に関するワーキンググループより、地震・津波被災地域等に係る復興施策の総括について御報告をいただいたところでございます。

 ハードの整備でございますとか、住まいとまちの復興、産業、なりわいの再生等の分野について、かなりの復興が進んでまいったと、そのように見ております。ところが、一方で、心のケア等や、被災されたお子さまに対する支援ですとか、中長期的な対応が必要な課題もございます。これらについては、復興施策に代わる政府全体の政策による対応というものが極めて重要だと考えております。

 第2期復興・創生期間の後も、引き続き必要な支援が行えるように、関係府省庁と地方自治体とも連携して、更にまた丁寧な取組を進めてまいりたい、そうしたことを前に前にと進めてまいりたいと思っております。

(問)ありがとうございます。重ねてもう1点失礼します。

 第2期復興・創生期間終了後、一般施策への移行について検討が進められていると思いますが、一方で、地元のほうからは不安だったり懸念の声があるのも事実です。その不安の声にどのように対応していくか、そういった不安をどのように払拭していくか、大臣のお考えを教えてください。

(答)やはり、そうした御不安というのは、いつか手から離れていく、自分が一人で対応しなければならないときが来る、そうしたことをやはり御心配をされておられると思うのです。だからこそ、私たちは寄り添うつもりで、しっかり地元に根をはって、耳をすませて、その声に応えていくということを丁寧にさせていただきたいと思っております。

 そういうことを重ねていくことこそ、信頼、信用をいただきながら次の時代の安心、安全というものをつくっていく、そんなことじゃないかと私は思っておりますので、そうした方針で、私としてはこの復興庁の仕事を全員で取り組んでまいりたい、そのように考えております。よろしくお願いします。

(問)原発事故の被災地、特に双葉郡を中心に住民の帰還が、原発事故から13年が過ぎた今でも思うように進まない状況が続いております。状況打開に向けてどのように取組を進めたいか、お考えをお聞かせください。

(答)将来的に帰還困難区域の全てを避難指示解除をさせていただき、復興・再生に責任を持って取り組むという決意に、私自身も揺らぎがあるわけではありません。ましていわんや、今までやってまいりました復興庁にとっても、そのことは揺らいでいるわけではありません。

 まずは、2020年代をかけて、帰還意向のある住民の方々が全員御帰還いただけるように、特定帰還居住区域の制度によって除染やインフラ整備などの避難指示解除に向けた取組をなお一層しっかりと取り組んでまいりたい、進めてまいりたい、かように考えております。

 その上で、帰還意向のない方々の所有されます土地ですとか、家屋ですとか、残された土地、家屋等の扱いにつきましては、引き続き重要な課題でもあります。地元自治体の皆様ともしっかりと協議を重ねさせていただきながら、検討を進めてまいりたい、かように思っております。よろしくお願いします。

(問)大臣に御就任されて、これまで環境副大臣の御経験などもあるかと思うのですが、これまでの経験でしたり、あと、御自身の能力というものをどう復興に生かしていけるか、そうした御抱負であったりだとか、お考えをお聞かせください。

(答)私はこのたび復興大臣の重責を担って復興行政に直接関わることとなり、本当に身の引き締まる思いでございます。

 おっしゃったとおりに、これまで環境副大臣として、2期2年にわたって務め、この東日本大震災の復興特別委員会の委員長などの経験もさせていただきまして、総合調整の役割というものを持つ、政府全体の司令塔である復興大臣に着任した今の状況を鑑みても、過去、大変いろいろなことをやらせていただきましたが、そのとき関わらせていただいた方々とも、しっかりまた顔を合わさせていただきながら事を進めていけるように努力をしたいと思っております。

 内堀知事さんも、私が着任したころに、たぶん彼もその立場に立たれたと思いますが、一緒に仕事をさせていただいた仲間でございます。とにもかくにも、私としては、現場主義を徹底し、そして被災地の皆様方の声をしっかりとお聞きしながら、関係府省庁でございますとか各自治体の皆さんと連携をしっかりと通じて福島の復興・再生に尽力をしてまいる所存でございます。

 なお、福島県につきましては、環境副大臣の在任中に中間貯蔵施設、最初に中間貯蔵施設をやるぞということで、実はキックオフの建設現場でスピーチをしたのを思い出します。本当に頻繁に訪れさせていただいた福島県の産品の輸出のために、香港を訪問した際、当時の松田総領事、後にウクライナ大使を務められた方なのですが、その方から、是非、福島県をはじめとする農産品の輸入規制に関して行政長官に話をつけてもらうよう助けてほしいと言われました。

 私も何度か香港に伺い、関係者とも話し合いをさせていただき、また農林水産省とも一緒にやってみました。結果、福島を除く4県の野菜等の輸入停止は解除されました。地域の皆さん、役所の皆さん、大勢の皆さんの御協力をいただきまして、大変ありがたいことだと思います。

 また、岩手県につきましても、私の地元、東海市は、実は釜石市から移住をして、この日本製鉄の東海製鉄所を建設し、そこからトヨタ自動車に鉄を供給するという仕事で実は上がってきたところなのですが、ちょうど私が落選をしていたときに東海市の市長さんが私を呼んで、是非、釜石に復興の証しとしてワールドカップラグビーを招致してほしいのだと。何で僕にそんなことを聞くんですかと聞いたら、お前しか森喜朗先生にしゃべりに行くのがいないだろうと。そんなことを言ったって、僕はバッジがありませんと言ったのですが、それでもやれと言われまして。

 何度も森喜朗先生のところに行って、森喜朗先生に釜石に足を運んでくれと。あの場を見てくれれば分かってくれると言って、実は行ってもらいました。行ってもらったら、森さんが、分かったと。ここでやることを決めるということを言ってくれまして、それであのワールドカップは釜石で開催していただくことになりましたが、私はスタジアムを造るときに、スタジアムに添えて、ワールドカップラグビーのための神社を造ろうということを申し上げました。神社がどこにあって、どこからもらえるというか、造るというのは全然考えていなかったのですが、初めて日本でワールドカップをやったときに、東京の三菱地所さんの造っている丸ビルのところに、実はワールドカップラグビーの神社があったのです。それを見て、私はこれだと思って、これを三菱地所さんは終わったらどうするのですかと聞いたら、ごみにすると言われたので、それはもったいないから僕にこれをくれませんかと言ったのです。

 そうしたら、何で?と言われたので、せっかくワールドカップラグビーを釜石でやる、そしてスタジアムもできる。そのスタジアムを終わった後、どうやって使っていくのかということを考えたときに、是非、あの東北6県の高校生、大学生、みんなでラグビーやっている連中、アメフトをやっている連中の練習の場所にしてほしい。そうすることが、実は、あのとき傷付いた宿の人たちもうるおうようになる。それをつなぎ止めるには、ワールドカップラグビー神社ということにして、御守りを作って売ればいいと。そうすると、毎年、そこに若い子たちが次々来ると。そんなふうにしてやってくれないかということを言ったら、三菱地所という会社は慶應大学のラグビーのOBがいっぱいいる会社でして、喜んでそれをやってくれました。それで神社付きのスタジアムができたというのが私の思い出といえば思い出です。

 宮城県につきましては、村井知事と古くからのお付き合いをさせていただいて、彼の最初の選挙のときに、私が師匠として慕っている二階俊博先生が、村井さんの知事選挙だから君、一緒に応援に行こうと言われて応援に行きましたけれども、その後、実はあの震災が起こって、すぐ私は1週間後ぐらいに石巻の大川小学校、それから女川、気仙沼、こんなところを回らせていただいて、本当にビルの根っこから引倒れているような、そんな建物をたくさん見せていただいて、いかに大変なことが起こったかということを見せていただきました。

 そんなこんなを通じて、私としては、こんなことを少しでも和らいでいけるように、今やれることは何だろうかと思って、当時、環境省の人間としては努力をさせていただきましたが、こうして復興大臣として引き続き、もともと持ち合わせている現場主義を徹底して、被災地の方々に寄り添って、復興を更に前に進めていくということができるように、地域の状況に応じてしっかりと取り組ませていただきたいな、かように思っております。

 ちょっと長くなってごめんなさい。以上です。

(問)環境副大臣時代にも中間貯蔵関連事業に関わられたと思うのですが、今、再生利用の取組を環境省が進めていますが進んでおりません。環境省単独ではあの事業を進めるのは困難という指摘もありますが、復興の司令塔として事業進展にどう関わっていきたいか、考えをお伺いします。

(答)福島県内で発生した除去土壌等を2045年3月までに県外最終処分にするという方針は、法律にも規定された国の責務、責任だと考えております。この実現に向けましては、除去土壌の再生利用等により最終処分量を低減する必要がある、そこが重要なところだろうというふうに考えております。

 除去土壌の再生利用につきましては、環境省が実証事業の成果でございますとか、IAEAからの助言を踏まえまして、必要な基準等を今年度中に取りまとめると承知をいたしております。その上で、再生利用先の創出に向けて、科学的な知見の下に取組の必要性、安全性に関する情報発信を通じまして、国民の理解の醸成につなげることが必要であろうかと考えております。

 復興庁といたしましても、環境省をはじめとする関係府省庁としっかりと連携をして対応してまいりたいというのが私の答えでございます。

(問)福島国際研究教育機構、F-REIについてなのですが、政府は可能な限り前倒しするというふうにしておりますが、復興庁としてどのように加速させていくのかというのを伺えますか。また、研究者や地元住民と調和したまちづくりが求められている中、どのように具体化を図るかも、お考えをお聞かせいただければと思います。

(答)F-REIと言っていいですか。

(問)はい。

(答)F-REIは、福島をはじめ東北の復興を実現するための夢・希望となるものとするとともに、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を牽引していく、東北にある世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指す、そんな場所にしたい、こう考えているところでございます。

 F-REIの施設整備につきましては、現在、用地取得を進めておりまして、今年度、敷地造成ですとか、建物の設計に着手したところでございます。できうる限り早期に敷地造成工事に着手できるよう、進めさせていただきます。そして、造成工事や建築の設計を進めつつ、一部建築工事につきましては先行着手をするなど、可能な限り前倒しをし、皆様方の目に入ってくるような努力をしてまいりたいと思っております。

 また、F-REI周辺に様々な研究人材の皆様を確保するためにも、その皆様方にとっての生活環境の充実が重要であると考えております。復興庁といたしましても、これまでも各種復興事業を通じ、医療、買物環境、教育、交通のアクセスの整備等、必要な生活環境の整備、支援を行ってきたところでございます。また、昨年度から地元市町村と民間企業が連携をしていただいて、生活環境改善のための実証事業を実施していただいているところでございます。

 引き続いて、福島県や市町村が取り組むまちづくりと緊密に連携し、事を進めていくことによって、成果を上げてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

(問)福島第一原子力発電所で廃炉作業とか、ALPS処理水の海洋放出という作業が進められている東京電力に対して、復興庁として期待すること、伝えたいことがあれば一言お願いします。

(答)福島の第一原発の廃炉作業につきましては、世界的に見ても前例のない、技術的難易度の高い取組であると、これは誰もがそう考え得ることです。これまで使用済み燃料プールからの燃料の取り出しなど、とはいえ、一歩一歩着実に前進している状況でございます。

 今後、廃炉の根幹となる、最も困難な燃料デブリの取り出し作業の段階に入っていくことが、取り出しを進めながら得られる情報、経験、そうしたものに基づいて柔軟な方向を調整するステップ・バイ・ステップのアプローチで進められているものと私は承知をしております。

 東京電力には、引き続き地元の皆さんの信頼を絶対に損なわないように、そして緊張感を持っていただいて、安全の確保にも万全を期して、このことにしっかりと休むことなくお取り組みいただきたいと、こう考えております。よろしくお願いします。

 どうもありがとうございました。

(以  上)

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