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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年9月20日(金)13:30~13:44 於:環境省第一会議室)

1.冒頭発言

なし

2.質疑応答

(記者)テレビ朝日の屋比久です。よろしくお願いします。
 先週、10日に富士山の夏山シーズンが終了したことに関連して、2点、質問です。
 今年から山梨県による富士山の入山者数の規制などが行われましたけれども、この富士山のオーバーツーリズム対策の協議会の一員でもある環境省として、今年の取組をどのように評価をしているのかというのが1点目、また、2つ目としては、昨年あたりからエコツーリズム推進法だとか、自然公園法に基づいて、政府が国立公園に対して入域料を導入する議論というのが進められていますけれども、富士山での適用について、現時点での検討状況などはどうなっているのかという、この2点についてお願いします。
(大臣)富士山については、山梨県側でゲートの設置と通行料の徴収等、また静岡県では事前登録システムの導入等の新たな入山管理の取組が行われたところでございます。
 これらの取組によって、富士登山の課題である弾丸登山等も含むオーバーツーリズムの抑制には一定の効果があったというふうに聞いております。
 今後、「富士山における適正利用推進協議会」の場において、環境省、山梨県、静岡県など関係機関による取組結果を取りまとめて、次年度に向けた対策を協議してまいりたいと考えております。
 2点目のエコツーリズムの関係でございますけれども、富士山での入域料については先ほど申し上げましたとおり、今年度から山梨県が通行料の徴収を開始したところでございます。静岡県側においても、更なる入山管理を検討する考えがあるというふうに聞いておりまして、今後、「富士山における適正利用推進協議会」において、議論することになるというふうに考えてございます。
 
(記者)よろしくお願いします。東京新聞の松島です。
 PFASの問題について、御質問させていただきたいと思います。先日、信州大学の研究グループのほうが、環境省が企画立案をしておりますエコチル調査において、PFASの母体のばく露の上昇と、子供の染色体異常の上昇のリスクに関して、関連がありますよという可能性を示唆するという研究を発表されたと思います。
 エコチルの調査の中では、今まで関連を調べる研究というのはいろいろあったとは思うのですけども、初めて関連性の可能性があるという形で示唆する研究という形になりましたが、この研究に対しての大臣の受け止めと、この研究を受けて、今後の対応をどうしていきたいかという考えが、今ありましたら教えていただければと思います。
(大臣)御指摘の研究論文が発表されたことはよく承知しております。この本論文の著者の見解として、「今回得られた結果をもって、すぐにPFASと染色体異常の関連性を結論づけることはできない」とされております。
 また、本論文を掲載したアメリカの学術誌においても、「より確かな結論を得るためには、追加的な調査が必要であることを示した成果」であると承知しております。
 環境省としては、引き続き健康リスクの低減のため、専門家に御意見をいただきながら、水道水の目標値等の検討を進めるとともに、様々な調査研究を通じて、PFAS血中濃度と健康影響との関連についても、科学的に評価可能な疫学調査や研究を推進していきたいと思います。
 環境省がどういうふうにしていこうかという考えでございますけれども、繰り返しになりますけれども、今回の研究論文はPFASの血中濃度と健康影響との関連について行われた様々な研究の1つと認識しておりまして、PFASの血中濃度と健康影響との関連については、様々な調査研究が必要と考えておりまして、環境省としても科学的に評価可能な疫学調査や研究を推進してまいりたいと思います。
(記者)今おっしゃられました科学的な疫学調査に関してですけれども、研究論文の中でも更なる研究の必要性を提示していると思います。エコチル調査に関しては、全国のいろんなところでやられている調査という形態ではありますけども、汚染地域における疫学調査というのを、これを受けて力を入れていくという考えはありますか。
(大臣)現時点では、PFASの濃度と健康影響というのは結論づけるものが十分じゃないので、さらなる研究を積み重ねる必要があると承知しておりますので、現時点において、汚染地域によって、そこに集中して調査を行うという計画はございません。
(記者)汚染地域でやる計画がないという理由について、もう少し詳しく教えていただければと思います。
(大臣)例えば、アメリカのオハイオ州の地域住民を対象とした染色体異常との関連を調査した研究において、PFASの血中濃度との関連は認められなかったというふうに承知しておりまして、今回の信州大学の研究論文のみに基づいて、妊婦のPFASの血中濃度の検査を行うべきであるというふうに結論づけることはできないというふうに考えております。
 環境省としては、引き続き国内外の知見を収集するとともに、エコチル調査、環境研究総合推進費を活用した科学的に評価可能な疫学研究、化学物質の人へのばく露量、モニタリング調査などの調査研究を更に推進してまいりたいと考えております。
 
(記者)日刊工業新聞の松木です。
 先日、国際組織のTNFD(自然関連財務情報タスクフォース)が、フレームワークを昨年公表してから1年になりました。日刊工業新聞の集計にはなるのですけれども、日本企業の68社以上がフレームワークに対応した情報開示をしていました。
 3月に政府が閣議決定したネイチャーポジティブ経済移行戦略では、情報開示をした企業が市場から評価されて、資金を獲得できる経済を目指すということになっています。
 今回、世界に先駆けて開示した企業が実際に資金を獲得し、せっかくの企業努力が報われて、先行者利益を得るために何が必要でしょうか。戦略を策定した政府としてのお考えをお聞かせください。
(大臣)このネイチャーポジティブ経済の実現においては、民間企業が自然関連財務情報タスクフォース(TNFD)を開示して評価されることを通じて、生物多様性保全に積極的な取組を行っている企業に資金が流れていく仕組みを構築することが重要だというふうに考えております。
 こうした資金の流れの変革等がなされた経済の実現を目指すべく、本年3月にネイチャーポジティブ経済移行戦略を策定したところでございます。環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省で策定したわけでございますけども、昨年9月にTNFD開示枠組みが公表されてから1年が経過したところ、開示に取り組むことを表明した我が国の企業は約110社と、世界最多となっておりまして、ネイチャーポジティブの実現に向けて日本企業の関心が高まっていることと考えます。
 環境省としてはこの開示に合わせて、企業価値向上につながるネイチャーポジティブの取組の実践が必要であるというふうに認識しておりまして、生物多様性民間参画ガイドラインの策定や、研修会の実施等、企業による自然関連情報の開示の支援を行っております。
 ネイチャーポジティブ経営の移行は先進的な企業で始まったばかりでありまして、我が国においても一層進むように、今後も環境省として引き続き後押しをしてまいりたいと、このように考えております。
 
(記者)共同通信の堀口です。よろしくお願いします。
 東京電力福島第一原発の処理水海洋放出についてお伺いします。一部報道でもありましたが、岸田首相は今日、IAEAの事務局長と電話会談し、IAEAの枠組みの下、中国も参加できる形で処理水のモニタリング体制を強化する方針を確認する見通しです。
 また、政府は中国側には、日本産水産物の輸入規制の即時撤廃を改めて求める考えですが、環境大臣としての所感をお願いします。
(大臣)報道がそういうふうに出ていることはよく存じております。このALPS処理水の海洋放出に関する中国側との意思疎通はずっと続けておりますけれども、これまでも様々なレベルで行ってきております。
 しかしながら、やり取りの詳細については相手国との関係等に鑑みて、現時点で明らかにすることは差し控えたいと思います。
 引き続き、科学に立脚した議論を通じて、ALPS処理水に係る中国側の科学的根拠に基づいた正しい理解が進むよう、しっかり取り組んでいくとともに、中国側に対して、日本産食品に対する輸入規制の即時撤廃を強く求めてまいりたいというふうに思います。
(記者)そのためには、やはり処理水のモニタリング体制の強化という形で、中国も参加できるようなものというのはあってもしかるべきという考えでしょうか。
(大臣)既にIAEAの枠組みの中で、中国の科学者にも参加いただいております。今回、報道ベースでございますけれども、さらにIAEAの枠組みの中での中国側が求めることについて、日本側として応答をしていると報じられていますけども、そこも含めてしっかり意思疎通を図って、この問題の解決に向けて努力してまいりたいと思います。
(記者)中国側はこれまで独立した資料採取という形を求めてきた経緯がありますが、今回こういった中国の関与度合いを広げることで、中国側のそういった科学的な理解が進むとお考えでしょうか。
(大臣)前段申し上げましたように、やり取りの詳細についてのコメントは差し控えたいと思いますし、私自身がそのやり取りをしているわけではないので、コメントは差し控えたいと思います。
 
(記者)環境新聞、小峰です。今の共同通信の質問に関連してお尋ねします。
 先日、あまりにも痛ましい、日本の小学生が殺されました。日本人は大変怒っております。
 この殺人事件から初めての閣僚級レベルの会合になると思います。大臣が御参加するTEMM(28、29日)。これについての毅然たる抗議というのは当然なさるんでしょうね。いかがでしょうか。
(大臣)これから開かれる日中韓環境大臣会合のテーマについては、基本的には環境問題を中心とするものですけれども、これから行われるものについて、今私が何を言及するかというコメントは差し控えたいと思います。

 
会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=vj6EjeSN46Q

(以上)

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